おすすめ · BookRank

シャーロック・ホームズの正典

長編四作と短編五十六作。どの順で読むべきか、誰にもわからない。

7.9読者評価 4,412 件から · 全60作、1887–1927

正典は四十年をかけ、月刊誌への連載というかたちで書き継がれた。だから「どこから読めばいいか」が、はじめからシリーズとして書かれたどの作品よりも難しい。このページがあるのはそのためだ。

シドニー・パジェット、1893年:旅行用ケープに鹿撃ち帽、パイプをくわえたシャーロック・ホームズの横顔。
シドニー・パジェット、1893年。 ドイルが書いたのは「耳当てつきの旅行帽」だけだった。いまや世界中がホームズの目印とする鹿撃ち帽は、パジェットが描いたものだ。

なぜこんがらがっているのか

理由は三つ、どれも十九世紀のもの

ドイルはシリーズを書いていたのではない。The Strand Magazine に毎月一編ずつ短編を書き、それが何年も経ってから単行本にまとめられた。そこから一つ目の問題が生まれる。『シャーロック・ホームズの冒険』は長編ではなく、独立した十二の物語だ。それなのに書店では、どう見ても長編小説に見える。

二つ目。1893年、ドイルはホームズにうんざりして、ライヘンバッハの滝に突き落とした。『ストランド』の読者は購読を解約し、ロンドンでは喪章が見られた。八年後、作者は折れる。まず死以前を舞台にした『バスカヴィル家の犬』で、そして本当の帰還で。

シドニー・パジェット:ライヘンバッハの滝の上の岩棚で組み合うホームズとモリアーティ教授。
「最後の事件」、1893年。 『ストランド』の読者に購読をやめさせた一枚。

三つ目は実際的な問題だ。作品は六十あるのに、評価がつくのは六冊だけ。読者の評価は個々の短編ではなく本単位で集まるので、短編そのもののランキングはそもそも存在しない。ここにも、ほかのどこにも。

入り口は二つ

どちらも正解。違いは、最初の晩に何を求めるか

出会いから

どう始まったかを知りたいなら

  • 緋色の研究 · 1887 — アフガニスタンから戻ったワトスンが同居人を探している
  • 四つの署名 · 1890
  • シャーロック・ホームズの冒険 · 1892 — 短編十二作
  • あとは一冊ずつ順番に

いちばん良いものから

そもそも自分に合うかを確かめたいなら

  • シャーロック・ホームズの冒険 · 1892 — 短い形式、文体の真骨頂
  • バスカヴィル家の犬 · 1902 — 最高評価、8.14
  • 続けると決めたら 緋色の研究 に戻る

やってはいけないこと:『バスカヴィル家の犬』より先に「最後の事件」(『シャーロック・ホームズの思い出』所収)を読むこと。ドイル自身がその順で発表したのだから、規則違反ではない。けれど、正典全体でただ一つの本物のどんでん返しを台無しにしてしまう。

評価のある六冊

五十六の短編は短編集に分かれて収められ、評価されるのは短編集のほう

  • 1887 · 緋色の研究長編、最初の出会い — 7.95
  • 1890 · 四つの署名長編 — 7.55
  • 1902 · バスカヴィル家の犬長編、最高評価 — 8.14
  • 1905 · シャーロック・ホームズの帰還短編13作 — 8.03
  • 1915 · 恐怖の谷長編 — 7.76
  • 1927 · シャーロック・ホームズの事件簿短編12作、最後の一冊 — 7.88

『冒険』(1892)と『思い出』(1894)は、私たちのデータでは評価の数が足りず、スコアがつかない。当て推量で出すよりは、何も出さないほうを選ぶ。

ホームズの姿を決めた男

シドニー・パジェット、1860–1908

ドイルがホームズの外見を書いたのは一度きり、それもあっさりとだ。背が高く、痩せていて、鷲鼻。それ以外のすべて――帽子も、ケープも、いまや世界中が知っているあの横顔も――『ストランド』の挿絵画家の創作である。パジェットは弟のウォルターをモデルに描き、帽子を描き加えた。田舎へ出かける紳士はそういう身なりをしたからだ。

依頼は本当はウォルター宛てだったのに、編集部が封筒の名前を取り違えた――そんな話が語り継がれている。パジェット家は否定した。それでもこの逸話が百年生き延びたのは、弟が実際にモデルだったからだ。

シドニー・パジェットによる「空き家の冒険」の挿絵:暗い部屋で、三年ぶりに戻ったホームズに気づくワトスン。
「空き家の冒険」、1903年。 誌面から十年遠ざかったのちの帰還。

このページの絵はすべてパジェットの作品で、パブリックドメインにある。彼は1908年に亡くなった。生成された画像は一枚もなく、私たちに断らずにここから持っていってかまわない。

よくある質問

シャーロック・ホームズはどこから読めばいい?

ホームズとワトスンに、二人が出会った順番どおりに出会いたいなら『緋色の研究』(1887)から。短い形式で文体を試したいなら『シャーロック・ホームズの冒険』(1892)から。ドイルを有名にしたのはこの短編集だ。

シャーロック・ホームズの本は何冊ある?

正典、つまりコナン・ドイル自身が書いた作品は、長編4作と短編56作。全60作が9冊に収められている。それ以外はすべて他の作家によるものだ。

順番どおりに読む必要はある?

ない。短編はそれぞれ独立している。例外が一つ。「最後の事件」と「空き家の冒険」は対になっていて、この順で読まなければならない。それも、ほかに何冊か読んでからにしたい。

いちばん良いのはどの巻?

読者の評価では『バスカヴィル家の犬』(1902)。10点満点で8.14、評価のある六冊のなかで最も高い。正典のなかで最も多く映像化された物語でもある。

無料で読める?

英語の原文なら読める。コナン・ドイルは1930年に亡くなっている。Project Gutenberg で読める:A Study in Scarlet、The Adventures of Sherlock Holmes、The Hound of the Baskervilles。翻訳は話が別だ。翻訳には翻訳独自の著作権がある。

読む

正典はすべて1930年から自由に読める。一冊にまとめた全集版は、そうではない。

アフィリエイトリンク:ここから購入するとBookRankの支援になります。価格は変わりません。

正典のすべてを、一冊ずつ

全六十作を発表順に、年と、あればスコアつきで。同じリストをほかの八つの言語でも。

スコアについて。7.9/10。公開されている読者評価を一つの尺度にそろえた加重平均。

挿絵。シドニー・パジェット(1860–1908)、The Strand Magazine、1891–1903年。パブリックドメイン、Wikimedia Commons より。

テキスト。アーサー・コナン・ドイルの作品はパブリックドメインにある。翻訳はそうとは限らない。翻訳者の権利は別に存在する。